
冬は積雪していることが普通の状態である魚沼では、雪が降るたび除雪車が主な道路を走り回り、すぐに車が通るのに問題ないレベルになります。主な道路とは、人家の面している道のほぼ全てであり、除雪しないのは田んぼや畑の間の道くらいです。


それでも、除雪車が入り込めない歩道のキワや、家の路地は自らの手で除雪が必要です。雪が降ると、各家々の前の人が通るところは、その家の住人によってたちどころに除雪されます。それは、雪国で暮らす人にとって暗黙のルーチンであり、てらうこともなく、気負うこともなく、淡々と当然のこととしてなされます。

雪国の外の人間から見ると、それは荷の重い義務である一方で、暮らしの場を守る無償の行為が自然な形で協働されている、少し羨ましい姿です。
都会に住んでいると、暮らしを支える全ての行為は行政サービスに転じて、税金をそのための費用として払っているのだから当たり前、という感覚になります。しかし元を質せば、こういった協働作業が本来の姿だったはずです。そこにある奉仕の精神やお互いを思う心が行政サービスとして金銭に変わっていくに連れて、人の結び付きも希薄になっていったのだと思われます。まちや集落の姿について考える雪かきです。

(2021.12.30)