ものずき村ってこんなところ!初めての訪問で見えた魅力

『ものずき村』のBLOGをお読みの皆さま、こんにちは。滋賀県在住のオクダと申します。2023年7月にリニューアルした、『ものずき村』のホームページ。私は、リニューアルにあたりお手伝いをさせていただいた者です。

いつもは事務局の米本さんが更新しているBLOGですが、今回はオクダが執筆させていただきます。と、言いますのも…、

8月の猛暑日、昼下がりの『ものずき村』
私と息子です

このたび8月下旬に、家族で『ものずき村』に訪問・滞在させていただきました。

新潟県には、過去、スキー旅行やフジロックに来たことがありましたが、魚沼市に来たのは初めてです。そんな私の目から見た『ものずき村』と周辺地域の魅力を、このブログでお伝えしたいと思います。

朝早くからの賑わい

『ものずき村』の朝は早いです。野菜や山菜、花などを出品する生産者さんの多くは、6時半には陳列を行うそう。7時にオープンすると、続々とお客さんがやって来ます。

滞在した民宿のおかみさんによると

「すごく良いお野菜が並んでいて、大人気。早く行かないと売り切れちゃうぐらい!」

とのことです。

スーパーで買える野菜は、物流の都合で収穫から数日経過したものが多いのが一般的。ですが、『ものずき村』には朝採れたてのものが並びます。

夏の棚は色鮮やか
手前の黄色いのは「金糸うり」
レジも大忙し

そうこうしていると、お昼に向けてそば処 『げんたん』の準備が始まります。減反政策で作られるようになった地元のそば粉を使って、美味しいそばが仕込まれていきます。

少し太めで、香りが楽しめるそば
天ぷら、私は2皿食べました

お昼どきには、子ども連れのご家族、営業車でやって来たサラリーマン風の方々、バイクでツーリング中の方々など、さまざまな方が『げんたん』のそばを楽しみます。

サラリーマン風の方々は、駐車場から見える雄大な景色を見て、思わずスマホで写真を撮っていました。わかります、その気持ち。

私も撮りました

ものずき達が作った、ものずき村

今回の滞在では、『ものずき村』の創始者たる御三方にお話を伺うことができました。村長の仲丸さん助役の酒井さん収入役の佐藤さん(愛称・吉野屋さん)です。

仲丸さん
酒井さん
佐藤さん(愛称・吉野屋さん)

「ものずき村って、色々な野菜や花などの産品が並んでいるから、きっと創始者には農家さんもいらっしゃるだろう」

と、最初、私は思っていました。でも、仲丸さんの現役時代のお仕事は土木関係。酒井さんは高校の先生、吉野屋さんはスーパーの経営。…というように3人とも、農家さんをやっていたわけではありません。

3人の共通点は、山野草を育てるのが好きだったこと。数十人でお互いに山野草の株をあげたりもらったり情報交換をしたりしていて、その会での馴染みのメンバーだったそうです。

そんな中で、根っからの商売人だった吉野屋さんが

「山野草を並べて売るところを作ったら、売れるんじゃないか」

と言い出します。これが、『ものずき村』を作ることになったきっかけなのだそう。でも、場所を作った目的は売ることだけではありません。

「仕事を引退してから、男の人が集まってお茶を飲むところがない。で、作ろうと思った」

と、仲丸村長。

確かにそうなのかも。世の中では、定年退職後に孤独を感じる人もいると聞きます。しかし、日々『ものずき村』を切り盛りしている効果なのか、御三方は実にいきいきとした様子!こちらが圧倒されそうなぐらいです。

そんなこんなで2007年、

「ものずきが集まってやるんだから、ものずき村でいいじゃん」

と、吉野屋さんのお茶目なネーミングでオープン。それから16年もの間、続けてきたことになります。運営する楽しさはどこにあるのでしょう?

「お客さんと喋るのが面白いね。俺ぁ、全然お客さんのこと持ち上げないけど!」

とは、酒井さん。そういえば、先ほどお店の中で突然お客さんに赤かぼちゃ『あかもん』の選び方をレクチャーしていました!お客さんは喜んでいましたよ。

名物あかもん。左の手書きポップに注目!スゴイ

ものずき村を支えてきた、生産者さんたち

もちろん、ポンと今の形ができたわけではありません。建屋を作ったり設備を揃えるのにはお金も必要で、今でこそ笑い話になるようなすったもんだもありつつ、さまざまな人の協力を得ながら続いてきたのが、『ものずき村』です。

(すったもんだのお話は、『ものずき村』に行って吉野屋さんに聞いてくださいね。笑)

ここまで『ものずき村』が賑わい続けてきた、いわば成功のポイントは色々あるようです。

まずは立地。この地域に来れば必ず走る国道252号線沿いで、地元の人も近隣市町村の人も立ち寄りやすい場所にあります。次に、そば処『げんたん』があること。「せっかく来てくれたならお昼ごはんを食べてもらおう」という気持ちから開業し、試行錯誤を重ねた美味しいそばが、喜ばれています。

そして、これ抜きには考えられないのが、お店に並ぶ品々。野菜や山菜、花、加工食品や手作りの雑貨…とても多彩な品々が売られています。

すいかに、石に、鈴虫も
こんなのもあります、メダカです(村長が育てて出品)

これまで、たくさんの生産者の方々が『ものずき村』の活動に賛同し、その季節のものを出品することでお店がうまく回ってきました。

先ほども触れた通り、創始者の御三方は農家ではありません。でも、山野草を育てたり、果物を育てたりと、傍らで農業をすることがここでは自然。まるで、私たちが家事として掃除洗濯を当たり前にするように、日常的に農業をしているのです。

生産者さんたちも、農業を仕事とする方ばかりではなく、傍らで育てた野菜や、季節に応じて採ってきた山菜やきのこを出品しています。

「農業と言うと、世間一般ではいつの間にか『それでお金を得るもの』というイメージが定着した。ここでやっていることは、ちょっと違う」

と米本さんが仰っていたのですが、まさしく。生産者さんは、たくさんできた農作物を隣近所でシェアするような感覚で、『ものずき村』に並べるのです。

『ものずき村』はその感覚を大切にしているので、「儲けすぎない」値付けをすることが慣習になっており、お客さんは色々な品々を本当に喜んで買っていきます。

もちろん「儲ける仕組みを考えて、お金をしっかり得ていく農業」というのも別のところでは必要であり、それを否定するつもりはありません。でも、『ものずき村』のような価値観も、あって良いよな、と感じます。

今、一番の課題は、生産者さんの高齢化と減少なのだそうです。この素敵な場所を継続していくために、興味を持たれた方はぜひ生産者募集への応募をご検討ください!

※生産者募集については、>こちらのページをご覧ください。

あなたも生産者になれる!農作業シェアリング

そんな素敵な『ものずき村』。でも、遠方にいる私のような人が、おいそれと生産者として参加するのは難しいものです。

難しいですよね………。

………。

…。

いえ!参加できる方法があります!それが「農作業シェアリング」です!

ものずき村からすぐ近くの畑

今回の滞在中、ほんのわずかな時間ではありますが、私たち家族も農作業に参加させていただきました。

今年と、来年も「農作業シェアリング」の一環で育てるのは、地域の名産品『あかもん』です。この日はその『あかもん』の生育状況をチェックし、適した実を収穫しました。

実の「ヘタ」がコルク状になっているか確認
まだ収穫しないものは藁をかけて日焼け防止

残念ながら、全ての実が色・形よく、大きく育つわけではありません。だからこそ、虫を避けるため「やぐら」を組んだり、大きな実にするためにはどうすればいいかと栽培条件を変えたり、この畑で良いものを作るために色々な工夫・実験をしながら育てられてきました。(これまでのBLOGでも、栽培について記録されています)

というのも、ここで育てる『あかもん』は、自分たちで食べることだけが目的ではないのです。収穫された『あかもん』は『ものずき村』の店頭に並び、大きさや外観に応じて値付けされます。

実際に、数日前にこの畑で収穫され追熟を経た『あかもん』たちがお店に並んでいるのを目にしたときは、

「これがあの畑で育ってきたのか!これがお客さんの手に渡るのか!」

と、驚きと喜びを感じました。

工夫して育てた結果、めでたく販売に至った『あかもん』たち。なんと可愛く嬉しいものでしょう。生産者さんたちの日々の楽しみって、こんな感じでしょうか。わずかな時間だけでも、魚沼の日常に自分が溶け込んだような気持ちを味わうことができました。

その『あかもん』たちが本当に可愛らしく思ったので、購入させていただきました。(※農作業シェアリングに参加すると、作業量に応じて実物をいただくこともあると思います)

鮮やかなオレンジ色に息子も夢中

ちなみに、生後9ヶ月の息子もかぼちゃが大好き。なので、この『あかもん』、半分は調味料を抑えて調理し離乳食にします。もう半分は、おすすめ料理の「バサゴロシ」に!

自然豊かな環境で、広い畑での本格的な農作業。育てたものが『ものずき村』に並ぶ。「農作業シェアリング」は、とても楽しく興味深い経験ができると思います。詳しくは、>こちらのページからご覧ください。

最後に

「田舎には遊ぶところが無い」とよく聞きますが、『ものずき村』の人たちの暮らしは、遊びだらけです。

村長は『あかもん』を育て、きのこを育て、メダカを育てて増やし、ニホンミツバチを飼って蜜をとります。酒井さんは魚を釣り、松茸を採り、熊の狩猟に行った話もしてくれました。吉野屋さんは、ものずき村の事業を回すこと自体を面白がっているし、漬物や燻製など食べ物の加工が好きだそうです。

「何でも、楽しくやることが大切。『ものずき村』をやって、今、周りには仲間がいっぱいで楽しいよ」

とは、村長の言葉です。今回の滞在を通して一番印象に残ったのは、「ここには、日々あらゆることを遊ぶ豊かな精神が息づいているのだなぁ」と感じたこと。その精神の片鱗を感じられることが、演出された観光地とはまた違う、『ものずき村』の魅力だと思います。

「まだ魚沼に行ったことがない!」という方がもしこのBLOGを読んでくださっていましたら。ぜひ魚沼を、『ものずき村』を訪れてみてください。

晩夏、美しい魚沼です